転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「詳細は教えてくれなかったのですが、ちょっとした便宜をタイシン殿にはかってあげたお礼だそうです」

生活に困った時に宝石を外して売れば、ちょっとしたお金にもなるとタイシンは言っていたそうだ。

 カミュエル宮の使用人達の中には、同じようにタイシンから髪飾りを贈られた人が他にもいるそうだ。思っていた以上に、タイシンはこの宮に出入りしていたらしい。

「リヒャルト様に、話をした方がよさそうね」

"ちょっとした便宜"が何を意味しているのかは不明だが、ラファエラ妃のところで働いている使用人に頼みごとをしている以上、ラファエラ妃との間になんらかの関係ができているということだろう。

 タイシンとラファエラ妃の間に接点があるなんて、考えたこともなかった。

 ラファエラ妃は、いまだにミナホ国との交易には反対しているそうだが、それならばなぜタイシンとつながっているのだろう。

(何も起こらなければいいんだけど)

 そう願ったけれど、その願いは叶いそうにないのを、ヴィオラ自身なんとなく予感していた。


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