転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「お姫様は、勉強しないといけないことが多いんですね。俺も、食材を見る目は日々勉強ですが、テストなんてガキの頃に受けたきりですよ」

 なんて、アラムが口を挟むのには笑って返した。

「ミナホ国では、生魚を食べるって本当ですか」

「そうみたいね。海のお魚は生でも食べられるものがあるんですって。お醤油をかけて……ええと、あとは薬味、ワサビとかショウガとかと一緒に食べるのよ」

 もちろん、ヴィオラは刺身についてよく知っている。だが、あくまでもミナホ国の食事については、書物で読んだだけという立場なのであいまいにそう説明した。

 このあたりは海から少し離れているので、魚料理といえば淡水魚を使ったものがほとんどだ。淡水魚は寄生虫を持っていることがあるため、必ず火を通して食べる。

「生で食べるなんて、あたった時のことを考えると恐ろしいな」

 と、アラムは真面目な顔をして身を震わせている。

「そうね。でも、あちらの食生活に合わせる必要はないと思うの。ヤエコ様もタケル様も、こちらの食事はお口にあっているみたいだし」

 ヤエコもタケルも、世界中を船で回っているからか、異国の食事に対する苦手意識は少ないようだ。

 たとえば、ヤエコは甘じょっぱい味付けを好むらしいとか、タケルは塩気の多い味付けのほうが好みだとか、その程度の差はあれど、苦手な野菜なども特にはないようだ。
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