転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「はい、スティーシャ様を見習って、頑張りますね!」

 いつまでも、皇妃やリヒャルトの厚意に甘えているわけにもいかない。

自分の身を守るための情報は必要だ。素直にスティーシャの言葉に同意すれば、リネットがぼろりととんでもない発言をした。

「そうなると、ヴィオラ様がスティーシャ様より有利かもしれませんわね。だって、満月宮でお暮しですもの。リヒャルト殿下とお話する機会も、スティーシャ様よりずっと多いですものね」

「ま、待って! それは困るわ! ヴィオラ様、今の言葉は聞かなかったことでお願いします!」

 慌ててスティーシャは自分の発言を打ち消そうとする。手をばたばたと振っている様が、年齢相応に見えて可愛らしい。

「スティーシャ様を見習います! 頑張ります!」

「それはだめー!」

 スティーシャがヴィオラの手を掴もうとするのをするりとかわす。同年代の女の子達とこうやってじゃれ合うなんて、オストヴァルト帝国に来るまで経験したことなかった。

(……大きないさかいにならなければいいのだけど)

 スティーシャとじゃれ合いながらも、そう願ったけれど、ヴィオラにできることは何もなかった。

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