キミの溺愛は甘すぎる。



「鈴華、久しぶりだね」
「拓哉さんに会いたかったです」


拓哉さんの前だと素直になれる。
嘘をつくことだなんてできない。

こんな風に優翔の前でも素直になりたいけれど、幼なじみという肩書きのせいで強く当たってしまうのである。


「俺に会いたかったの?
嬉しいな、ありがとう」

「拓哉さんが大好きなんです…!」


さらにぎゅーっと抱きつけば、優しく頭を撫でてくれる拓哉さん。

ああ、本当に大好き。
落ち着く。


ずっとこうしていたい。

もし仮に相手が優翔だったとしたら、心臓の音がうるさくて落ち着かなくなるのだ。


だからつい、現実から逃げるようにして拓哉さんに甘えてしまうのかもしれない。



「鈴華はいっつも拓哉のとこばかりだな」

せっかく気分が良かったというのに、隣にいたお父さんが口を挟んできて。

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