キミの溺愛は甘すぎる。



「そんなことないよ。
優翔は未央に似てる部分もある」

「でも基礎となる部分は全部拓哉に似てんだからな。
鈴華が可哀想で仕方がない」


はぁとため息を吐くお父さん。
落ち込んでいるような声に聞こえなくもない。


「やっぱり好きな人ができたら変わるものなんだよ。優翔、昔と違って意地の悪い部分が倍以上になってるし」


ドクンと、心臓が嫌な音を立てる。
聞くべきではなかったかもしれない。


確かに今、拓哉さんは“好きな人ができたら”と言った。

つまりそれって───


優翔に今、好きな人がいるということ?



胸がぎゅっと締め付けられるような感覚がして、途端に苦しくなる。


だってお父さんも私が可哀想だと言っていた。
多分優翔が好きだということがバレている。

その上で“可哀想”ということは───



「……っ」


ああ、すべて私の勘違いだったのだと。

優翔には好きな人がいて、私のことは普通の幼なじみとしか見ていなかったのだと。

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