キミの溺愛は甘すぎる。



芝生の上で眠っている男の人に近づく。


「うわぁ、イケメンだ」

近くで見れば見るほど、綺麗な顔がはっきり視界へと映し出される。


あまりにも気持ちよさそうに眠っているものだから、思わず頬を突っつきたくなった。



「あの、すいません」

もちろん頬を突っつくことはせず、とりあえず肩を軽く叩いて起こそうとするけれど。

まったく起きない。
ピクリともしない。


どれだけ深い眠りについているんだ。
しかもこんな芝生の上で。


優しく起こすのを諦め、今度は少し肩を揺さぶる。

するとようやく彼はピクリと瞼を動かし、ゆっくりと目を開けた。


「ベンチから落ちたみたいですけど、大丈夫ですか?」


いきなり視界に私が入って驚かせたらダメだと思い、真っ先に状況を説明する。

けれど彼はぼーっと私を見つめたまま、特に反応はない。

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