すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
ーー好き……?え、好き?

自然に浮かんだ単語に内心動揺していたが、戸惑いは表情にも表れていたようで智大が箸を置いて訝しげな顔をした。

「どうした?」

「えっ……ど、どうもしないよ?大丈夫……」

「さっきと様子が違う。まさか魚の骨が喉に刺さったか?だから三枚卸しになっているのを買えと前にも……」

「ち、違うの、そうじゃない……」

心配そうな表情で真っ直ぐ見つめられ、ドキドキする胸をそっと押さえながら首を振っていると、何かに気付いたような顔をした智大が手を伸ばし、指先だけで藍里の頬に触れた。

「っ……!?」

「少し赤いようだが……熱はないな」

もう休むか?と問われ、藍里は何度も頷いた。
食事は食べ終えられてないけど、このまま智大と同じ場所にいたら心臓が大変なことになってしまうのではないかと思い、少し離れることを望んだ。

「片付けはしておくから、寝室に行ってろ」

「う、ううん。ちゃんと片付けるよ」

「いいからさっさと行け。……あー……体調が心配なんだ」

素っ気ない言葉の後に少し考える仕草。
それからすぐに足りなかった言葉を恥ずかしそうにしながら付け加える智大に、藍里は胸がキュッと締め付けられるのを感じた。
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