生簀の恋は青い空を知っているか。





ベッドにダイブする。落ち着く匂いと、見慣れた天井。

レースカーテンから漏れる外の光のおかげで部屋の中は真っ暗ではない。

目元を腕で覆って、薄暗闇から闇へと入る。エアコンをつけないでいられるのは夜だからだろう。

なんだっけ、今日、鼎の誕生日で……。

本物の富山さんと会うことが出来て……。

いないと思ってた浅黄さんが居て……。

寝返りを打って目を瞑る。思考が完全に止まって、夢の世界へ。




前髪が額に当たって擽ったい。何が当たっているのだろう、と目を醒ます。

わたしの前髪は梳かれていた。その手の主と目が合う。

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