生簀の恋は青い空を知っているか。
違いという違いは無いと思われる。少し考えて答えた。
「うちもそうだけど、鼎のとこも身内関係なしに面接するから入りやすいとかはないんだけど……理美はね、他人を嫌うのがちょっと苦手なんだよね」
五色くんがきょとんとした顔を見せる。確かに、急に何の話だ、となるだろう。
黒ビールの泡が下から上へと移動する。グラスが汗をかいていて、美味しそうにも見えた。
「自分の親が経営してる会社の人間関係でトラブルがあると、嫌だなあと思ったんじゃない?」
「そこまで……徹底してますね」
「中学のとき、バスケ部にいたのね」
「先輩が?」
「理美が」