生簀の恋は青い空を知っているか。
ああ、と浅黄さんはテーブルの上にあるメイク落としを一枚取る。何をするつもりなのか、とそれを見ていると、顎を掴まれた。
「な、なにを」
「寝てる途中、泣かれたら困る」
目から順に化粧が落とされていく。何を見たのか、誰から教わったのか、丁寧に。
メイクを含んだコットンがゴミ箱にポイっと捨てられた。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
完全に浅黄さんはこの部屋で寝るつもりらしく、わたしもそれに反対する気力も持ち合わせていなかったので、寝る準備をして隣に寝転ぶ。
わたしのシングルベッドに二人。狭い。