生簀の恋は青い空を知っているか。

それでもお腹が抱き寄せられて、ぐっと近づく。煩い心臓の音が聴こえませんように、と願った。








午前中の仕事を終えて昼休憩に入る。五色くんがエレベーターに乗って総務に戻るところだったらしく、すれ違う。

「あ、先輩。広報の砂塔さんから伝言です」
「ありがとう」

メモ用紙を渡される。これまたびっしりと書かれている。

無くさないようにデスクの引き出しに入れておくか、と五色くんの後ろを歩く。
くるりと振り向いたので、必然的に向き合う形となった。

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