生簀の恋は青い空を知っているか。
こちらを見る五色くんを見上げる。
「先輩にあんなこと言っておいて、あれなんですけど」
「うん?」
鼎といい、五色くんといい、『あんなこと』ばかり言い過ぎなのでは。
「先輩に告白紛いをした、ことです」
五色くんはちゃんと答えてくれた。わたしはそれを思い出す。あの日、浅黄さんが帰りに現れたときのこと。
「うん」
「言ったら俺の中ですっきりした、と言いますか」
「うん」
「本当、自己満足みたいなもので申し訳ないんですけど……」
「うん」
「……あまり、深く考えないでください」
結論が自分の中で出たらしい。