生簀の恋は青い空を知っているか。

瞬間、耳が熱くなるのを感じた。

「いえ、あの、高級そうなタオルケットだなと思いまして」
「……は?」
「……なんでもないです、はい」

なんでこっち見てるんだ。恥ずかしくて浅黄さんに背を向ける。
何も言わずに電気が消され、部屋の中はカーテンの隙間から漏れる外の光以外に、灯りは無くなった。

高そうなマンションだ。いや実際高いと思う。わたしの一人暮らしの家も辛うじてオートロック付きだけれど、こういうところはコンシェルジュとか付いてるんだろう。

実家を出て一人暮らしをしている理美のマンションにもコンシェルジュがいて、毎日見送ってくれる。

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