生簀の恋は青い空を知っているか。

「知ってますよわたしが暗いのは、わたしが一番!」
「つまり何が言いたいんだよ」
「つまり、わたしが」

言葉が途切れる。いや、噤んだのはわたしの口だ。

浅黄さんは何も言わない。わたしの言葉の続きを待っている、らしい。

でも、わたしはその次の言葉を持たない。

「君の言いたいこと、当ててやろうか」
「……できるなら」
「自分は良い嫁じゃないとか、できた人間じゃない、とか言いたいんだろ」

言い得て妙。
暗いわたしの言いたいことを、浅黄さんはお見通しだった。

口を噤むしかない。

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