生簀の恋は青い空を知っているか。

「たまにすごく尊敬してしまうようなことを言うから」
「たまにってなんだよ」
「大半は考えてること、よく分かんないです」

正直にそう言えば、浅黄さんは呆れた顔をして笑った。

「知られたら困る」

困るって、なに。




自分の部屋に戻ってドレスを脱ごうとして、ベッドに沈んでしまった。張りつめていた糸が一気に緩んで、どっと疲れがきた。

眠い、あーでももう少しで富山さんのドラマが始まる。

ローテーブルに放置されているリモコンに精一杯手を伸ばして掴む。

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