生簀の恋は青い空を知っているか。

その言葉は、わたしの中でずっと引っ掛かっていた何かを、すとんと落とした。

自由は選択のうえにある。

わたしは自由になりたかった。
家から? 借金から? 世間から?
狭い生け簀の中は、確かに心地よかった。敵のいない環境と用意された食事。その為になら、見世物になった。

息苦しいと感じたのは何故か?
わたしが、わたしを決めつけていたからだ。

だから、浅黄さんは「選べ」と言ってくれたのだろうか。
選択できる自由、ではなく、自由を選択する、ことを。

「浅黄さんって、本当にわたしの三つ年上ですか?」
「何が言いたい」

眉を顰める。いえ、馬鹿にしているわけではなく。

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