Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「…ちょ…っと…」


ナオの顔が過り、反射的に逃げようとしたあたしの頭に手を回し、宮瀬は深く苦いキスを求めてくる。


「や…だ…っ」


頭でも言葉でも逃げようとしてるのに、身体が言うことを聞いてくれない。


拒みたいのに拒めない。


これじゃまたナオを裏切ることになる…っ。


「…お願…っ…やめ…て」


ナオを裏切りたくない…。


でも、宮瀬のことを拒めない。


どうして…っ?


あたし最低だ…。


頭と身体、心と身体の、大きな葛藤が苦しい。


頭で、心で、ダメなことだって分かってるぶん、苦しい。


苦しいのに、拒否できない。


ツーっと一筋の涙が頬を伝うのが分かった。
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