Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
……それは事実だ。


殺ろうとすらしなかった。


怖いから。


宮瀬を敵に回すのが恐ろしいから。


でもそれ以上に、宮瀬が悪いヤツには見えなくて、あたしの中で宮瀬の存在が大きくなっていたから。


「せっかく作り話でっち上げて殺しやすく仕向けたってのに。バカな女だ」  


「……作り話…?」


…どういうこと…?


「俺に娘はいないし、宮瀬聖は罪のないヤツを殺したりしない。そういうとこも腹立たしいんだけどな」


…ずっと騙されてたってこと…?


目の前に偉そうに座る貫田さんはあたしが知ってる貫田さんじゃない。


ドス黒くて汚い、ゴミのような男だ。


「…貫田さんは…いつからあたしを騙してたの…?」
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