Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
微かに震えた貫田さんの声。


視線を合わせにいっても、貫田さんは合わせてくれなかった。


「…ヤツは…俺の娘を人質にとってた。俺が殺しを決行する日時を知ってたんだ。どうやって知ったのかは分からない。けど…ヤツは知ってた」


貫田さんの周りに裏切り者がいたのかもしれないし、宮瀬が盗聴するなりして知ったのかもしれない。


あの男なら盗聴も人質にとることも、簡単にやってのけるだろう。


「まだ幼い5歳だ。5歳の娘だった」


遠くを見つめる貫田さん。


その目は濡れて光っていた。


「〝武器をすべて捨てろ。捨てなければこのガキを殺す〟ヤツはそう言って娘のこめかみに銃口を当てた」
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