144本のバラの花束を君に
「し、静音?」

突然頰をつねり出した恋人に、エリックが驚く。静音は目に涙を浮かべながら、「うん、夢じゃない」と呟いた。

「プロポーズってその……は、恥ずかしいセリフとか言わなきゃいけないし……。だからデートで少しずつ練習をしてたんだ」

恥ずかしがりながら、エリックが言う。たしかにプロポーズの時のセリフはエリックが絶対に言わないとびきり甘いものだった。静音は微笑む。

「Yes, I can't think of anything I want to do more than spend the rest of my life with you .(はい。あなたと残りの人生を過ごすほど最高なことはない)」

エリックの顔がプロポーズした時よりも赤くなる。静音の顔も赤い。

二人の唇が優しく重なった。



次の日、静音が幸せな気持ちで目を覚ますと、おいしそうな匂いがした。

「Good moaning(おはよう)」

静音がリビングに入ると、エリックが朝ごはんを作ってくれていた。テーブルの上には、きれいなバラの花束が置かれている。
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