クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
愛菓に抵抗はない。

気を良くした和生は、少しずつ顔の位置をずらし、愛菓の首筋や胸元に唇を這わせた。

クールな愛菓からは想像もできない甘い吐息が漏れる。

和生の中に、言いようもない征服欲や独占欲が沸き上がってくる。

先程から溶かされ続けている氷漬けの心臓が、カランカランとグラスの中で音をたてて溶けていく・・・。

和生のTシャツと短パンを着ている愛菓を生まれたままの姿にするのは簡単だった。

その美しい髪や肌から、自分と同じ匂いがする。

しかし、同じようで少し違う。

それは愛菓のフェロモンなのか、ただの体臭なのか・・・いずれにしろ、今の和生にとってそんなことはどうでも良かった。

普段ならこんなに簡単に身体を開く女になど、こうなる以前に、蔑んだ目を向けて追い返していたはずた。

「あなたを好きなのだろうか・・・たぶん、好きなのだと、思う」

最低な言葉が和生の口からこぼれる。

女性を抱くのも数年ぶりだ。

どのくらい前だったか思い出せないくらい和生には性欲がなかった。

一度愛菓に触れてしまったら、どんなに最低だと罵られても、愛菓の身体を這う唇や手を離すことはもうできない。

自分でも信じられないくらいに彼女を欲している。

「スイーツも人間関係も・・・まずは手にとったり近づいて、見ないことには、何も、始まりません、よ」

甘い吐息の間に、艶かしく愛菓が和生の耳元で囁く。

「和生殿は、もっと・・・じぶんの、気持ちを・・・解放する・・・必要が・・・あぁ」

゛とっくに解放されてしまっている゛

和生はこれ以上、愛菓に何も話させないとばかりに激しく彼女の唇を貪った。

仕事以外には反応しない、Mr.coolとうたわれた樫原和生は、

この瞬間から、好きな女を抱くただの欲深な、人間らしい男になった。

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