白と黒ゲーム

山田は意気揚々に話していた。その口調だけでも私は怒りを抑えられなかった。こうなっている元凶が自分達の苦しんでいる姿を笑って見ている姿が目に浮かんでくる。


『それでは....一日目のメッセージ...
「永遠に続くと思われた羊の村。だがそこに共喰い羊とその協力関係を結ぶ羊が現れてしまった。犠牲は出ていなく、まだ自分達の存在に気付かれていない。そこで人喰い羊はある作戦を立てます。成功すれば吉、失敗すれば凶。博打に近いがやる価値はある..」』


山田の声が途切れたと思った時、部屋のドアの鍵が開く音と、大きな鐘がなる音が部屋に響く。

ゴーン...ゴーン....


重くのしかかるような重音、私達の寝坊を防ぐためだとすぐに理解出来た。

鐘の音が鳴り止んでもスピーカーから続きの山田の音声は聞こえない。もう部屋を出ていいという合図だと思い、私はゆっくりドアに向かって歩いた。
ひんやりとする手すりを持って唾を飲み込む。酷く飲みにくく、その分大きな音だった。

私は精一杯の勇気をだしてドアを開けた。身をゆっくりと出して廊下の様子を伺うと、何人かのクラスメイトが周りをキョロキョロ見回しながら、自信の無い足取りで奥へ向かっていく。


「...そういえば美智さんが大部屋集合とか言ってたっけ....」
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