君の隣で、色を見たいんだ
みどりは家に帰ると、真っ先にシャワーを浴びて体をきれいにする。走って来たからか、体は汗ばんでいた。シャワーがとても心地よい。

薄いレモン色のシャツと黒いズボンというカジュアルな服装から、みどりは少し悩んだ末に白いワンピースを取り出し、袖を通す。赤いボタンと腰に巻かれた赤いベルトがかわいらしいワンピースだ。

まるでデートに行く前のようだが、みどりに彼氏はいない。しかし、異性の家に遊びに行くのだから少しはかわいいと思ってもらいたいという気持ちはある。ここはイタリア。おしゃれな国だ。

みどりの家の窓からは、ヴェネツィアの美しい家が見えている。淡い色の家々、水の青、美しい空ーーー。ここを見れば、誰もが「美しい」と思うだろう。しかし、みどりは逆に虚しさを感じてしまうのだ。

「いつか、灰になるかもしれないのに……」

みどりはそう呟いて、家を出た。

出かけると言っても、遠出ではない。みどりの家の近所の家に遊びに行くのだ。

コンコンコン、とみどりは控えめにドアをノックする。みどりの胸は高鳴り、今日はどんな色が見えるのだろうとわくわくしていた。
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