同じ人を好きになるなんて
私は思い出し小刻みに頷いた。


それは3年半ほど前の出来事だった。

私はエリアサポートマネージャーとして各店舗を回り、売り場のチェックやアドバイスをしていた。

この日は１号店の店長とのミーティングで店に来ていたのだが、ミーティングが長引きいつの間にかお店は開店していた。

しばらくすると店の女の子が私たちのいる休憩室に駆け込んできた。

「店長！ちょっときてください。隼人くんが大変なんです」

今にも泣きそうな顔の女の子に店長が事情を聞く。

だが私は席を立ちすぐに売り場へ向かった。

すると店内に罵声が飛び交っていた。

声のする方に行くと見るからにガラの悪そうな男性がアルバイトらしき男の子に食ってかかっている。

男の子はただ謝るばかり。

「失礼します。どうなさいましたか？」

間に割って入ると男性は私を睨みつけた。

「あんた誰だよ」

「ここの責任者です。何かうちのものが失礼を？」

聞けば店の割引券を持参し来店したが、割引券の期限は１ヶ月も前のもので使えないと伝えたら機嫌を悪くし嫌がらせのように何度も呼び出しベルを押しての嫌がらせを繰り返していたというのだ。

しかも男性客は店員の態度が悪いと文句を言い、挙げ句の果てには土下座しろとまで言った。
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