同じ人を好きになるなんて
「須藤さんって……飲めるクチ?」

「嗜む程度ですが……」

いや、本当は大好きだけど陸斗の家に来てからは今言ったように嗜む程度になった。

すると岡上社長がクスッと笑った。

あれ?私何か変なこと言ったかなと思うと目があった。

「あっ、笑ってすみません」

「い、いえ……」

「結構飲めるって印象だったんで」

「え?」

やっぱり私たちどこかで会っているの?もしそうなら私ってすごく失礼なことを言ったのかもしれない。

だけど本当に憶えがないのだ。

岡上社長はバーテンダーに何かを注文したがどこかで会ってたかもしれないと思うとそっちの方が気になって仕方がない。

「あの」

「はい」

「私たち以前どこかでお会いしてるんですよね?」

岡上社長は私をじっと見つめると少し間をおいて頷いた。

「ど、どこで……ですか?」

「『お客様は神様なんていう時代はもう終わったの。理不尽なことがあったら私に言いなさい。私が対処する』そう言って俺がいちゃもんをつけられている中あなたは俺をかばってくれた」

「え?……ああ!」

「思い出しましたか?」
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