同じ人を好きになるなんて
私の決断
「わかりました。失礼します」

陸斗は私の腕を掴むと駐車場へと向かった。

「陸斗?りっくんのお母さんって……」

すごく気になっていた。

だけどまさかこんな形で知ることになるなんて想像もしていなかった。

それに私はりっくんのお母さんはもうこの世にいないんじゃないかって思っていた。

それだけに動揺を隠せずにいた。

せっかく陸斗とよりを戻しこれからりっくんと3人で本当の家族のように暮らせると思っていた矢先に不安しかない。

最悪私はまた彼の前から去らないといけなくなるのでは?

嫌なことしか思いつかない。

「とりあえず帰ったらちゃんと話すから、車に乗ってくれ」

焦った様子の陸斗に私は問い詰める勇気もなかった。

陸斗はシートベルトをして車のエンジンをかけた。

するとスマートフォンから着信音が鳴った。

陸斗は急いでスマートフォンを取り出した。

「もしもし……凛子!お前、理人を……ああ」

陸斗の奥さんって凛子さんていうんだ。

陸斗が私以外の女性の名を呼んだことに私は胸の奥が苦しくなる。

でもそんなことりっくんがいる時点でわかっていたことじゃない。

陸斗は私と別れて凛子さんと結婚したのは揺るぎない事実。

それは消すことはできない。

私はどうすることもできずただ下を向いているだけだった。
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