同じ人を好きになるなんて
すると陸斗が急に大きな声を出した。

「はあ?……なんでいつもお前はそうなんだ?こっちの都合も考えろよ」

初めて聞く陸斗のきつい口調に私はさらに不安になる。

もしかしてこのままりっくんは凛子さんのところへ?

すると陸斗が私を見て大丈夫だと優しく頷きスマートフォンを持っていない方の手を私の手の上に重ねた。

「わかったよ。……ああ。でも頼むからこういうことは今後やめてくれ。わかった。じゃあな」

陸斗は大きなため息と共に電話を切った。

「陸斗、りっくんは?」

「明日まで母親のところに行くってさ。理人の希望だって……」

「そ、そうなんだ」

としか言えなかった。

だって私はりっくんの母親じゃない。

それに陸斗との関係も永遠に続くという保証はない。

「まゆりは心配しなくていいよ。理人も久しぶりに母親との時間を楽しんでるだろうしね」

「……うん」

私はそれ以上何も聞けなかった。
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