同じ人を好きになるなんて
「ごめんなさい」

男の子の今にも泣きそうな声に負けた。

「いいのよ。こんなの洗えばなんとかあるもの。それより私がこんなところで立ってたせいで……ごめんね」

せめて色が目立たない程度にだけはしたいと、せっせとスカートを拭く。

「悪いのはこっちです。大丈夫……じゃないですね。理人、お姉さんにちゃんと謝ったか?」

「……うん」

どうしよう。この子怒られちゃうかもしれない。

「あの……私がこんなところで突っ立ってたからいけないんで、叱らないでくださ––」

え?

スカートを拭く私の手と口が止まる。

目の前で跪いて私のスカートの汚れを見ている男性は5年前に別れた元彼陸斗だった。
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