同じ人を好きになるなんて
元彼が雇い主？！
なんで元彼の家で家政婦をやらなきゃならないのよ。

奥さんは？奥さんがいるんでしょ？

「ちょ、ちょっと待って。何を言っているんですか？家政婦って……理人くんのお母さんがいるんじゃないんですか？」

まさか奧さんと私を会わせるなんていう悪趣味なことを考えているでは？と不安になる。

でも、もし本当ならいくら私が無職だからってこれはあまりにも無神経だ。

もちろん引き受けるつもりなどない。

と言うより早くこの場から立ち去りたい。

だがそんななか理人くんが意外なことを口にする。

「ママは遠いところにいっちゃたの」

「え？」

どういうこと？まさか……理人くんのお母さんて？

「そういうことだから今俺と理人の二人暮らし」

私は驚きのあまり声が出ずにいた。陸斗は話を続ける。

「実は二年前に会社を辞めてIT関連の会社を始めたんだ。それで幼い理人には辛い思いをさせているんだ。だからできれば俺の世話というよりは理人の世話をお願いしたい」

五年の間に陸斗は結婚して子供もできた。

でも今は奧さんはいなくて……そんな中で自分の会社を持つまでになっていたなんて……

自分と全く違う人生を歩んでいた陸斗が遠くに感じた。
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