同じ人を好きになるなんて
「りっくん!走っちゃダメ。体拭いて〜」

お風呂を出るとりっくんは目が冴えたのか裸のままリビングのほうへ走っていった。

私はささっと自分の身体を拭くとバスタオルを巻きつけながらりっくんを呼ぶが、戻ってくる気配がない。

「りっくん風邪ひくから体を拭いてちょうだい」

だけどテレビがきになるのか裸のままテレビの前で仁王立ち。

「風邪ひいちゃうから裸のままじゃダメよ」

急いで身体を拭くと今度は裸のままソファに座りテレビに釘付けのりっくん。

「ほらりっくん。テレビは着替えが済むまでダメよ」

私はリモコンを持つとテレビんの電源を切った。

「でもまゆり姉ちゃんだって裸じゃん」

りっくんは口をとがらせ座ったまま足をばたつかせる。

「裸って……りっくんが着替えないから着替えられないの」

テレビを切られて文句を言いたいのはわかるけど、私も人様から頼まれてやってること。

風邪引かすわけにはいかない。

私はバスタオルを巻いたままパジャマに着替えさせた。

「はい出来たよ。私も着替えるからりっくんは大人しくテレビを見ててね」

「はーい」

返事だけは一人前なんだから。

そして、いざ自分も着替えようとした時だった。
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