君がキライなそのワケは
立ち塞がって来たと思えば、開口一番そう言った。

(なんだ失礼なやつだなァ……)

「だったらなんだよ?」

毅然と答え少し睨みつける。
向こうの方が背が高いから、必然的に見上げる形になるのがムカつく。

「………」

そいつは数秒押し黙った。
そして物凄い険しい顔をして、私と富美を見た。

「何じろじろ見てんのさ」

舌打ちしながら言うと、そいつは一言だけ。

「……放課後、迎えに行くから二人ともちょっと付き合えよ」

とだけ言ってさっさと教室を出ていった。
女子達の黄色い声が後を追うように聞こえる。

「な、なんなんだアイツは」
「さぁ……あ、思い出した。数日前転校してきたばかりの人だよ。えっと確か」

(なんか見たことある顔なんだよなァ)

記憶の底をさらってみてもよく思い出せない。

「そうだ、城崎 涼介!」
「城崎?」

(太郎さんと同じ苗字)

それでもまだ、モヤモヤとしたナニカが燻っていた。
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