絶対恋に落ちない。そう思ってたのに…。見習い騎士と素直に慣れない私

見張り小屋で

森を抜け、草原の方に歩き出す彼。
一軒、二軒と立っていた家が徐々にはっきり見えてくる。
「あそこが、貴方の家?」

レンガ作りの小さな建物に煙突が一つ付いている。
「いや、違う。あそこは、見張り小屋。主に見習い騎士が使えることになってる。
今は、俺しか使っていないから、他には誰もいない。」
そういいながら、彼は、扉の前に行き、鍵を開ける。

窓が一つついているだけの簡素な作りだ。
ゆっくりと扉を開けて、外を警戒し誰にも見られていない事を確認した。
「入れ。」
私が、中に入るとお酒の瓶が散らばり、服も無造作にあちこちで散らかり放題。
テーブルに椅子、横には、ベットとキッチンがあるだけの小さな小屋だった。

(何、このお酒の量は。。まさか、アル中なんじゃ)
扉を閉め、彼はベットに掛けられていたタオルをつかみ、
「髪でもふけ」と投げてよこした。

「ありがとう。」受け取ったタオルで髪をふきながら、私は、上着を脱ぐ。

部屋の電気をつけ、ゆっくりと椅子に座り「さて、話を聞こうか。」
グリーン色の綺麗な瞳で私の事をまっすぐ見つめながらそう言った。
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop