俺の、となりにいろ。
「…さい……うるさい……うるさいっ!」
フロア全体にビリビリと響いた反響音。
宇田支店長の叫び声でみんなが、そして私もビクリと動きを止めた。
私たちを囲う何十人という目が、一斉に宇田支店長へ注がれる。
俯き加減に両肩を上下に動かす後ろ姿を見つめた。
「…お前らは知らないだろう。バブルが崩壊してからの家一軒契約を取る大変さを。質が良く安値で引き受けてくれる下請けを探す大変さを」
唸るような声を発する男の手は、震えるほど強く握られている。
「俺が…俺がこの会社のために、どれだけの辛酸を舐めてきたかわかるかっ。お客に誠心誠意の限りを尽くし、下請けにも神経をすり減らした。発注書の金額だって上層部の承認を得ているだろう。下請けに支払われた金を、下請けがどう使おうと自由じゃないか」