俺の、となりにいろ。

 柔らかく冷たい唇。
 歯列をなぞられた繊細な舌先。
 全身を隅々まで触れた優しい手。
 何度も刺激を与えられた器用な指。
 私を壊れ物のように大事に抱きしめ、何度も激しく求められ、欲してくれた彼。

 無言のまま部屋に互いの荒い吐息と汗が流れる熱の中で。

 私は名前も知らない若い男に処女を捧げた。

 七年前のことなのに鮮明に覚えている、大切な記憶。

 その後、手放した記憶から目が覚めると、彼の姿はなかった。ハンガーに掛けた服もなくなっていた。

 布団の中の私は…全裸だ。
全身の倦怠感と下腹部の鈍い痛み。

 夜中の出来事は夢ではなかった。

 隣の小さな居間の卓袱台に、私の勤務先のICカードとメモがあった。キレイな字が並んでいる。

 『処女をもらった責任はとる。絶対待ってろ』

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