俺の、となりにいろ。
「北山さん、社内の風紀を乱したことで、桐谷専務と広報課の課長から厳重注意を受けたそうですよ。なるほど、それが理由だったんですね」
「まあ、当然だろうな」
奈津美の話に、政樹も相槌を打つ。
「咲さんも良かったじゃないですか。これで安心して四階のお手洗いが使えますね」
と、結果オーライとばかりに笑う奈津美に、咲も「そうだね」と微笑んだ。
咲はビールのジョッキを手に、「一つ、気になることが」と、三人の注目を集める。
「いや、大したことじゃないんだけど。ほら、紺野主任が応接室で北山さんに「好きな人がいるから」って言ってたのよ。紺野主任の好きな人って誰なのかな…って」
その質問に、奈津美と政樹は顔を見合わせて、軽く首を横に振る。
秀人はビールをクイッと煽って、あの時のことを思い出していた。
部下を厳しい目で注意する、マロン色のボブカットの後ろ姿を、優しく見つめる修二の姿を。
✩.*˚おわり✩.*˚