俺の、となりにいろ。
「彼を信じる」と、言おうとした時。
「コンコン」と、ドアを叩く音がした。
先に仲本桜子によって開け放たれたドアには、右手でノックをする仕草をする人物に、少しドキリとした。
「取り込み中のところ悪いが、業務中の私語は慎んでくれないか。隣の会議室にまで丸聞こえだ」
長身で少し長めの前髪から黒いフレームの眼鏡がキラリと光る、圧のあるオーラを放つ男性が立っていた。
「政樹さん」
奈津美がホッと安心した顔を浮かべて、ドアに立つ経理部の藤川課長へ駆け寄った。藤川課長は奈津美へチラリと視線を向けてから、私達を見た。