クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
侍女に付いて大広間を出た。広い廊下をひたすら真っ直ぐに進んで行く。

(これ以上先に進んでいいのかしら?)

宮殿の奥は王族の私的な空間で、特に許しを得たものしか入れないのだと聞いている。

戸惑いを覚えていると、先を歩いていた侍女が、廊下にいくつかある内の一つの扉の前で立ち止まった。

扉を開けた彼女に促され、部屋に入る。

それ程広くない部屋だが、ソファーとテーブルなど必要なものは揃っているように見えた。

周囲を一通り確認してから、リアナは侍女に問いかけた。

「あの、リカルド様はどちらに?」

「ベルグラーノ伯爵様は、エルドラ王女とご歓談中です」

「王女殿下と?」

(王女殿下は大広間にいらっしゃったのではなかったかしら?)

貴族たちの挨拶を受けていたのを見たけれど。

首を傾げるリアナに、侍女は淡々と会話を進める。

「はい。少々お時間がかかるため、ベルグラーノ伯爵夫人はこちらでお待ちくださいとのことです」

「それは王女殿下のご命令でしょうか?」

「いいえ、ベルグラーノ伯爵様の指示ですが」

「そうですか……分かりました」

リカルドは身重のリアナを心配して、ゆっくり出来る部屋を用意してくれたのだろうか。

夫らしい気遣いだが、いつものような喜びは湧いてこなかった。

嬉しさよりも、彼があの美しい王女と会っていることが気になってしまう。

侍女が部屋を出て行き一人きりになっても、なかなか気持ちが落ち着かないままだった。


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