クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
心の中で夫の無事を祈っていると、ミラが思い出したように呟いた。

「騎士団と言えばね、バリーからの連絡が全然ないの。大丈夫なのかしらね」

「そうなの? いつ頃から?」

バリーはミラの夫の弟で、数年前から騎士団に所属している。

ヴァレーゼ王国騎士団には叙任された騎士と、一般の兵士が存在するが、騎士の殆どは貴族出身で平民から騎士に成れる者は滅多にいない。

バリーは平民出身の為なかなか出世できず、入隊したときの兵士の身分のまま、地方の砦に配属されていると聞いていた。

「最後に連絡があったのは一年と少し前。地方から王都に転属になるって嬉しそうな手紙が届いたんだけどそれきり音沙汰がないのよ。本当に王都に移れたのかしら」

ミラは茶菓子をつまみながら頬杖を突く。面倒見の良い彼女のことだ。相当心配なのだろう。

リアナはバリーとの面識はないが、ミラから何度か話を聞いていた為、他人事と思えない。

「一年も連絡が無いのは気になるわね……私調べてみる」

「いいの? ……でも、バリーのような騎士団でも下位の兵士を見つけられるかしら」

「父が目をかけていた部下の中に貴族出身ではない騎士がいるの。彼なら一般兵についても詳しいかもしれない。必ず見つけるとは約束出来ないけど、何もしないよりはいいでしょう?」

リカルドに嫁いでからは疎遠になっていたが、なんとかなると思う。
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