クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「それならお願いしようかな、うちの旦那も口には出さないけど心配していると思うし」

「うん、動いてみる。何か分かったら知らせるから」

「ありがとうね」

それからしばらくしてミラが帰ると、リアナは早速バリーの行方を追う為に動き始めた。

「ねえダナ、お父様の部下だった騎士に一般兵から昇格した人がいたでしょう? 彼と連絡を取りたいのだけど」

「ええ、いらっしゃいましたけど、なぜ急に?」

ミラから聞いたこと、今後の予定ををざっくりと説明すると、ダナは納得しつつも戸惑いを見せた。

「連絡は取れると思います。でも、旦那様を通さずに騎士の方に私的な頼み事をして大丈夫でしょうか? 内容が特定の兵士を捜して欲しいということですし」

「あ……そうよね」

リカルドは騎士団長。直接かかわることはないとはいえ、一般兵も彼の配下であることに代わりはない。

ダナの言う通り、リアナの立場で騎士に勝手なお願いをするのはよくないかもしれない。

リカルドが知ったら気分を害する可能性もある。

かといって、多忙な彼にバリーを捜すように頼むのは気が引ける。

(どうしよう……)

少し迷ってから決心した。

「まずはリカルド様に手紙を出すわ。人を探したいのでお父様の部下だった騎士に頼んでいいかとお伺いを立ててみる。多分承諾してくれると思うから。その後の連絡はダナにお願いするわ」

「はい、かしこまりました」

ダナはほっとしたように微笑み、手紙を書くための準備をした。

机の上に用意された便箋に、リアナはさらさらとペンを走らせる。

事の経緯を簡単に書き終えると、その日のうちにリカルドに宛てて送った。

< 45 / 117 >

この作品をシェア

pagetop