クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
『俺はリアナが平民になることを心配している訳じゃない。俺が爵位を得たのはあの子が七つの頃で、それまでは平民として暮らしていたのだからな。それよりも貴族と結婚させてその後俺が死んだときに、娘には何の後ろ盾もなくなる。そんな立場で貴族社会で暮らすのは苦労しかないだろう。だったら初めから身に相応しい相手に嫁いだ方がいい』

否定しなくてはと思っていても、直ぐに言葉が出て来なかった。

ユベルの言う通り、貴族社会は出自に非常に敏感だ。

身分が低いというだけで見下されることがある。現に両親にリアナとの結婚を反対された。

何も言えないリカルドに、ユベルはとどめをさすように告げた。

『だからリアナは貴族に嫁げるような教育も受けさせていない』

『それは問題ありません。結婚してからでも……』

『リアナの夫としてバリー・アリソンを考えている』

リカルドは小さく息を呑んだ。

それはここ最近、急に名を上げて来た騎士。

そう言えば、彼の出世は騎士団長の取り立てによるものだった。

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