クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「リ、リカルド様?」

彼は軍服をきっちり着込み、息に乱れもないけれど、よく見ると額にうっすらと汗をかいていた。

(もしかして、ここまで走って来たの?)

いつも冷静で落ち着いている彼らしくない。

「あの、何か有ったのですか?」

そう言いながら立ち上がろうとすると、リカルドに手で制される。

彼はリアナの隣に腰を下ろし、軍服の襟元を緩めた。

「リアナの姿が見えないから捜していた。まさか館から出るとは思わなかったから手間取った」

その言葉からリカルドは周囲を探してくれたのだと分かる。

リアナは真っすぐここまで来たから大した距離では無かったが、闇雲に探したのでは大変だっただろう。

「手間をかけさせてしまい申し訳ありません。館の皆がいるので私が居なくても大丈夫かと思ってしまいました」

しかしエルドラ王女が来ているのに、無礼な行動だったのかもしれない。

「直ぐに戻ります」

リアナの言葉に、リカルドは少し困ったような表情を浮かべた。

「いい。急ぎの用が有った訳じゃないんだ」

「え?」

「ただリアナと話がしたかっただけだ」

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