クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
リカルドの言葉にリアナは目を瞠る。

(私と話したいって……本当に?)

エルドラ王女をが放ってまで、どんな話があるのだろう。

「あの、何か問題が?」

「そういうじゃないが、長く離れていたから……ただ話をしたいだけだ」

「そ、そうなんですか?」

思いがけない事態に戸惑いを覚える。

こんな人気のないところでふたりで話していたら、王女が気分を害さないかと心配にもなる。

(でも……嬉しい)

なぜから分からないけれど、リカルドは今、リアナと過ごす時間を優先してくれているのだから。

彼が手の届くとろにいることに、喜びを感じる。

先ほどまでの憂鬱さは晴れ、自然と頬が綻んだ。

「嬉しいです。本当は私もリカルド様と話をしたかったんです」

ニコリと微笑んで告げると、リカルドは珍しく戸惑った顔をする。

「そ、そうか……」

「はい。来て下さって良かった。ありがとうございます」

「あ、ああ……だが来るまでに時間がかかって悪かった。本当は何をしてでももっと早く来たかったんだが、どうしても時間が取れなかったんだ」

リカルドがリアナを見つめながら言う。久々に会う夫はいつもより口数が多く、声にも熱が入っているように感じた。

「お忙しいのに来て下さったんですね。心から感謝します」

小さく頭を下げると、リカルドは驚きを表す。

「そんな風に改まって言わないでくれ。妻に会いに来るのは当然だろう?」

予想以上に大きな反応に、リアナはややたじろぐ。

責任感の強い彼にとって、妊娠中の妻に会いに来ないことは許されないのだろう。

(義務じゃなくて、私とお腹の子供に会いたくて来てくれたらもっと嬉しいのだけど)

けれどそこまで望むのは欲張りだ。

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