ロマンスの王子様
「そのうえ、いろいろとあって奥原さんの昔のことを知っちゃって…」

その後の言葉が浮かばなかった。

「私、どうすればいいんだろうって…」

「――明穂ちゃんはどうしたいの?」

芳樹さんが言ったので、私は彼に視線を向けた。

「明穂ちゃんは、どうしたいと思っているの?」

芳樹さんは私を見つめると、もう1度聞いた。

「最終的には、奥原さんとどうなりたいの?」

その質問に私は深呼吸をすると、
「…奥原さんとずっと一緒にいたいと思っています」
と、答えた。

「じゃあ、それを奥原さんに伝えればいい」

芳樹さんが言った。

「奥原さんと一緒にいたいんだったら、そう彼に言えばいい。

明穂ちゃんが何も言わない限り、この関係は進まないよ」

「――ッ…」

芳樹さんの言う通りだと思った。
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