ロマンスの王子様
「まさか、そんなことを言われるとは思ってもみなかった」

奥原さんが言った。

「君から“好きだ”と言われる日がくるとは、夢にも思ってなかった」

奥原さんは私を見つめると、
「やっと、俺の質問に答えてくれた…」
と、言った。

「質問…?」

何のことだかよくわからなかった。

「お前は俺のことが好きか?」

「あっ、それ…」

いつだったかは忘れたけど、そう聞かれた。

でも、私はその質問に対して曖昧に答えることしかできなかった。

あの時は自分の気持ちがよくわからなかったし、奥原さんのことを特に意識していなかった。

とりあえず、奥原さんに嫌われていないと言うその事実にホッと胸をなで下ろしていた。
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