ロマンスの王子様
と言うか、何が悲しくて食事をしないといけないんだよ。

あんた、私のことを嫌っているでしょうが。

「何でだ?

その方がお前も彼も納得するだろうが」

そう言った奥原さんに、
「却って申し訳ないです。

奥原さん、仕事で忙しいんでしょう?

その忙しい合間を縫って食事をしてくれるのは申し訳ないです。

いや、気持ち的には嬉しいんですよ?

でも却って気を遣っちゃいますので…」

私は言い返した。

考えただけで地獄絵図である。

奥原さんと一緒に食事をするのは朝だけで充分だっつーの。

「お前」

奥原さんはそう言うと、私のことをじっと見つめてきた。

「な、何ですか?」

こんなことは今までなかったので戸惑っていたら、
「俺のことが嫌いなのか?」
と、奥原さんが聞いてきた。
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