ロマンスの王子様
「意味はあるさ。

それに、俺はお前のことを嫌いだと思ったことは1度もない」

奥原さんは椅子から腰をあげると、私に歩み寄ってきた。

「えっ、なっ…!?」

何をするんだ、一体。

逃げるように後退りをしたら、
「俺から逃げるな」

奥原さんが距離を縮めてきた。

「わっ…」

トンと背中に何かが当たったと思ったら、それは冷蔵庫だった。

前は奥原さん、後ろは冷蔵庫と私は見事に逃げ場を失ってしまった。

端正に整った彼の顔がものすごく近くにある。

こんなにも間近で彼の顔を見たのは初めてなんですけど…。

何だ、このシチュエーションは…。

せめて奥原さんを見ないようにしようと思ってうつむいたら、頬に彼の手が添えられた。

その手は大きくて、骨張っていた。
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