ロマンスの王子様
「場所くらい把握しろよって言う話じゃない」

「ホントだよねー」

私のとっさのウソをワッコさんは信じたみたいでホッとした。

よかった、信じてくれて…。

「そろそろ時間も時間だし、場所を移そうか」

「うん、そうだね」

私たちは会計を済ませると、コラボカフェを後にした。

「またみんなで一緒に行こうね」

「うん、絶対に行こう」

そんな話をしながら歩いていたら、
「明穂」

聞き覚えのある声が私を呼んだ。

えっ、まさか…!?

嫌な予感を感じながら振り返ると、
「あっ、奥原さん…」

そこに立っていたのは、やはり奥原さんだった。

「えっ、お迎え!?」

目の前の奥原さんに、ワッコさんは驚いた顔をした。

「いや、お迎えを頼んだ覚えは…」

何でこんなところまできているのよ!

私は首を横に振って答えることしかできなかった。
< 78 / 121 >

この作品をシェア

pagetop