ロマンスの王子様
「ちょっと、何てことをしてくれるんですか!?」

そう言った私に、
「何が?」

奥原さんは訳がわからないと言うように聞き返してきた。

「私、お迎えなんて頼みました!?

いつ迎えにきてくれって言ったんですか!?

そんなの一言も言ってないですよね!?

そのせいで友達に変な気をつかわせちゃったじゃないですか!」

ギャーギャーと怒鳴るように騒いでいる私に、
「それじゃあ、俺は“デートに行こう”と誘えばよかったのか?」

奥原さんが言った。

「はい?」

デートって、何の話をしてるの?

「俺は明穂とデートがしたかったからきたんだ」

「で、デートですか?」

「ダメか?」

何故なのだろう、断る理由が思いつかない。

「何も言わないと言うことは、誘いを受けると言うことでいいんだな?」

「…じゃあ、はい」

そう返事をした私に、奥原さんは満足そうに笑った。
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