Match maker
「申し訳ないです、急で。」

そう言った彼女に

「いえ、予定もありませんでしたので。」

そう返した。

急でもなければ、きっと、一生マッチングなんてしなかった。

「えっと…恋人とか…」

恋人が出来たら0は使用出来ない。

つまり、絶対にフリーだ。

【愚問やね。】

…俺達の重なって一体となったAI(0)がそう言った。

…関西訛り…なぜ?

SSの俺の0の方が強く出るのか。

「そ、そうですね。すいません。えっと…今日はお互いの条件がピッタリと合ったって事ですよね。」

【そうやで。】

俺の代わりに0が答えた。

「ちょっと待って!何で関西!?」

【初期設定が、そうなってる。】

俺側の、だが。

「ほんと?さっきまで違うかったじゃない。」

【CHEMISTRY】

素晴らしい発音で0は言った。

「まぁ、僕は口下手なので…和んでいいかもしれませんね。」

【なぁなぁ、コイツが一番に出した条件“イケメン”やで。】

ガタッ!

彼女が立ち上がった。

「ちょ、ちょっと!それ!」

【因みに、兄ちゃんの方は“誰でも良い”】

ガタッ!

今度は俺が立ち上がった。

【つまり、ベストマッチングや。】

それを…言ってしまうのか。

彼女も…

俺も…

顔を上げられずに固まった。

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