Match maker
仕事帰りに、田中さんとあの彼女と出会った店へ行こうとして、Uターンした。

何となく行きたくない。

会っても嫌だしな。

…いや、でも…ハッキリさせないとな。

避けてても意味がない。

そう思っていたら…

「雅実…さん?」

そう言われて、振り向くと

そこに彼女がいた。

…だけど、幸い、彼女一人だ。

「お食事ですか?」

そう言われて、気づく。

飲食店の前のディスプレイを見ながらボーッとしてた事に。

「ええ、まぁ。」

「ご一緒しても?」

…えー…

返事をする前に、彼女は私をその店の中へと押した。

私より少し低い身長に、近い距離。

綺麗な肌に、気後れして目を逸らす。

席に着くなり、彼女は私をジロジロと見て

「実雅さんとマッチングしてると、お聞きしたもので…どんな方かと思ったら…」

彼女は口に軽く握った手を当ててクスリと笑った。

それから

「なーんだ。」

そう言って、またクスリと笑。

ザワっと心が波打った。

同時に恥ずかしくなる。

それを見て、彼女はもう一度、クスリと笑った。

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